
アンティークコインのグレード確認方法を徹底解説!NGCとPCGSの評価基準とは?
「アンティークコインのグレードとは?」
「グレードはコインの価値を左右するの?」
「コインのグレードの見方を知りたい!」
アンティークコインを購入する上で、見逃せないのがグレードです。
グレードとは、コインの品質や状態を表す指標のこと。
「未使用」「やや摩耗が見られる」など個人でグレードを付ける場合もあります。
しかし、最も一般的なのはNGCやPCGSといった鑑定機関の付けるグレードなのではないでしょうか。
今回は、アンティークコインのグレードについて、その意味や価値との関係について解説するとともに、鑑定機関がつけたグレードの見方についても解説します。
コインのグレードとは?その基本を解説
コインの品質や状態を表すグレード。
コインにグレードを付けること(グレーディング)には、どのような意味があるのでしょうか。
コイングレードの意味や、価値との関係について解説します。
コイングレードの意味とは
コイングレードとは、アンティークコインなどのコインの品質や状態を言葉や数字などで表すことです。
アンティークコインには、さまざまな状態のものがあります。
未使用品で傷などがないものから、長年使用され表面が摩耗しているものまでその状態はさまざま。
コインを購入するにあたって、そのコインがどのような状態であるかを知るために、グレードは非常に重要な情報のひとつと言えるでしょう。
コインのグレードと価値の関係
コインのグレードは、コインの価値に大きく影響します。
アンティークコインの価値は主に、希少性・人気・グレードによって左右されます。
希少性が高いコイン、人気が高いコインほど価値が上がるのと同様に、グレードが高いコインほど価値が高くなるのが一般的です。
同じコインであれば、未使用品に近くグレードの高いものほど価値が上がるのです。
コインのグレードはどのように決まる?
それでは、コインのグレードはどのように決まるのでしょうか。
解説します。
個人が決める
コインのグレードの決め方のひとつとして、「個人が決める」という方法があります。
個人がアンティークコインをオークションサイトに出品する際などに、「未使用」や「やや使用感あり」などの状態を決めて記入することを指します。
どの部分に目立つ傷があるのか、刻印がはっきり見えるかどうか、などの記載も、個人が付けるグレードと言えるでしょう。
しかし、個人が決めるグレードは、決めた本人の主観によるため、不適切な表記がある場合もあり要注意です。
コインショップや専門家が決める
コインショップや専門家がコインのグレードを決める場合もあります。
プロとしてアンティークコインを取り扱っているコインショップや専門家が決めたグレードのことです。
ショップや専門家としての信頼性に関わるため、個人が決めたグレードよりも精度の高いものが期待できます。
ただし、こちらもグレードを決めたショップや専門家によってやや基準にブレが生じる場合があります。
鑑定機関がグレード付けをする
最も信頼性が高いのは、鑑定機関がつけたコインのグレードです。
アンティークコインの主要な鑑定機関には、NGCとPCGSがあります。
NGCとPCGSは、いずれもアンティークコインの第三者鑑定機関として公正な鑑定をすることをモットーとするアメリカの企業です。
1から70までの数値でコインの状態を表す「シェルドンスケール」を採用しており、数値が高ければ高いほど状態が良いコインとされています。
NGCとPCGSは、いずれも信頼性の高い鑑定機関です。
そのため、これら機関の鑑定を受けたコインを選ぶことにより、偽物のコインや適正価格でないコインを避けられる可能性が非常に高くなる、と言えるでしょう。
主要なコイングレーディング機関:NGCとPCGS
主要なコイングレーディング機関であるNGCとPCGSについて、特徴やグレードの見方を解説します。
NGCの特徴とグレードの見方
NGCは、正式名称「Numismatic Guaranty Corporation」の頭文字からつけられた名称で、1987年にアメリカのフロリダ州で設立された企業です。
設立以来5,000万枚以上のコインを鑑定してきた実績があります。
アメリカのスミソニアン博物館などに所蔵されるアンティークコインの鑑定も行っており、世界的にも信頼のおける鑑定機関と言えます。
古代コインも積極的に取り扱っており、鑑定できるアンティークコインの種類がとても多いことがNGCの特徴です。
そのため、ややマニアックなアンティークコイン・古代コインのグレーディングを希望する場合は、NGCに依頼するのがおすすめです。
NGCで鑑定されたコインは、専用のスラブケースに入れられます。
スラブケースはコインを保護する役割を持ち、NGCで鑑定されたコインであることと、鑑定結果が一目でわかるようになっています。
NGCで鑑定されたコインのグレードの見方を解説します。
①コインの発行年・額面上の金額
②グレード
③鑑定されたコインのID・バーコード
④NGC鑑定済みコインである印
①…コインの発行年や額面上の金額です。
画像の場合、1905年に発行された、20ドルコインであることがわかります。
②…こちらに、コインのグレードが書かれています。
表記の意味については後ほどご紹介します。
③…鑑定されたコインのIDとバーコードです。
こちらの数字をNGCのホームページで入力するか、
バーコードを読み取るとコインの詳細が表示されます。
④…NGCが鑑定したコインであるという証拠が記されています。
PCGSの特徴とグレードの見方
PCGSは、正式名称「Professional Coin Grading Service」の頭文字からつけられた名称で、1985年にアメリカのカリフォルニア州で設立された企業です。
アンティークコインの状態を70段階で評価する「シェルドンスケール」を最初に採用した会社として知られています。
また、アンティークコインのスラブケースを最初に使用したのもPCGSです。
そのため、現在の一般的なアンティークコイン鑑定のスタイルを作り上げたのはPCGSだといっても過言ではありません。
PCGSは、NGCよりも鑑定結果が厳しい、と言われています。
そのため、PCGSとNGCで同じグレード、同じコインがあるとすればPCGSのほうが高額が付く傾向にあります。
PCGSで鑑定されたコインのスラブケースからグレードを見る方法も見ていきましょう。
①発行年
②コインの額面上の金額
③PCGS鑑定済みコインである印
④グレード
⑤コインの名称・発行国など
⑥鑑定されたコインのID・バーコード
①…コインの発行年です。
画像の場合、1799年に発行されたものであることがわかります。
②…コインの額面上の金額が書かれています。
画像の場合、10ドルです。
③…PCGSが鑑定したコインであるという証拠が記されています。
④…こちらに、コインのグレードが書かれています。
表記の意味については後ほどご紹介します。
⑤…コインの名称や発行国などが記載されています。
⑥…鑑定されたコインのIDとバーコードです。
こちらの数字をPCGSのホームページで入力するか、バーコードを読み取るとコインの詳細が表示されます。
MSやPFなどアンティークコインのグレードの表記と段階
アンティークコインのグレードには、70段階の数字の前に「MS」や「PF」などのアルファベットの表記があります。
これらアルファベットの意味や段階について、表で解説しますのでぜひご覧ください。
名称 | 70段階
シェルドン スケール |
説明 |
PF
(Proof) |
60-70 | プルーフ加工のコイン |
MS
(Mint State,Uncirculated) |
60-70 | 未使用のコイン |
AU
(About Uncirculated) |
50-58 | ほとんど未使用に近い |
XF
(Extremely Fine) |
40-45 | 使用感があるが極めて美しい |
VF
(Very Fine) |
20-35 | 使用感が強いが図柄が鮮明 |
F
(Fine) |
12-15 | 図柄が薄くなっているが数字や文字は鮮明 |
VG
(Very Good) |
8-10 | 使用感が強く図柄や数字、文字が薄くなっている |
G
(Good) |
4-6 | 数字や文字は読める状態 |
AG
(About Good) |
3 | 数字や文字がかろうじて読める状態 |
FR
(Fair) |
2 | 部分的に形状が残っている |
PR
(Poor) |
1 | かろうじてどのコインかがわかる状態 |
MSとPFの違いについて
未使用を表す「MS」のコインと、プルーフ加工と呼ばれる「PF」のコインにはどのような違いがあるのでしょうか。
「プルーフ加工」とは、表面を鏡のように磨き上げる加工のことです。
一般に流通させるためのコインにはほどこされていない、鏡面加工のほどこされたコインを「プルーフコイン」といいます。
「PF」のコインは、一般流通用でなく、コレクション用に作られたコインなのです。
NGCによる+や★などの記号
NGCでは、ご紹介した表のグレード表記の他に、「+」や「★」などの記号がつく場合もあります。
「+」は、例えば「+ NGC MS63」と書かれたコインの場合、MS64に限りなく近いMS63であることを表します。
同等のグレードの中でも最高品質であることを表すマークです。
「★」は、同グレードの中でも格別に魅力のあるコインに付けられるマークです。
あくまで魅力に関する特記事項であり、「+」のように状態の良さを表すものではありません。
古代コインのグレード
古代コインのグレードについても解説します。
アンティークコインとは、発行されてから100年以上経過したコイン全般のことを指しますが、紀元前後あたりに発行されたコインのことを「古代コイン」と呼ぶ場合もあります。
古代コインは、さきほど紹介したアンティークコインのグレードとは少々違った段階付けがされています。
また、シェルドンスケールの数値は記されないことがほとんどです。
古代コインのグレード一覧は、下記の通りです。
(シェルドンスケールはおおよその目安として記入しています。)
名称 | 対応する
70段階 シェルドン スケール |
説明 |
Gem MS (Gem Mint State) |
65-70 | トップクラスの美品未使用 |
Ch MS
(Choice Mint State) |
63,64 | かなり状態の良い未使用 |
MS
(Mint State,Uncirculated) |
60-62 | 未使用のコイン |
Ch AU (Choice About Uncirculated) |
55-58 | 未使用に近い状態かつかなり状態が良い |
AU
(About Uncirculated) |
50-54 | ほとんど未使用に近い |
Ch XF
(Choice Extremely Fine) |
45-49 | 使用感があるが極めて美しい中でも状態が良い |
XF
(Extremely Fine) |
40-45 | 使用感があるが極めて美しい |
Ch VF
(Choice Very Fine) |
36-39 | 使用感が強い中でも状態が良い |
VF
(Very Fine) |
20-35 | 使用感が強いが図柄が鮮明 |
Ch F
(Choice Fine) |
16-19 | 図柄が薄い中でも状態が良い |
F
(Fine) |
12-15 | 図柄が薄くなっているが数字や文字は鮮明 |
VG
(Very Good) |
8-10 | 使用感が強く図柄や数字、文字が薄くなっている |
G
(Good) |
4-6 | 数字や文字は読める状態 |
AG
(About Good) |
3 | 数字や文字がかろうじて読める状態 |
FA
(Fair) |
2 | 部分的に形状が残っている |
PR
(Poor) |
1 | かろうじてどのコインかがわかる状態 |
また、古代コインには「Strike: 4/5 Surface: 3/5」といった表記もされています。
「Strike」は打刻位置を表す表記で、5/5が最も良い状態、コインのちょうど真ん中に打刻されていることを意味します。
そのため、4/5の場合は5段階中4を意味し、上から2番目に良い状態である、ということです。
「Surface」はコイン表面の摩耗状態を表す表記で、5/5が最も摩耗が少ない状態を表します。
まとめ
今回は、アンティークコインのグレードについて解説していきました。
コインのグレードは、個人で付ける場合、店舗や鑑定家が付ける場合の他に、鑑定機関が付ける場合があります。
世界的に信頼度の高いコイン鑑定機関として、NGCとPCGSが挙げられます。
NGCやPCGSは、シェルドンスケールという70までの数値でコインの状態を表す方法を採用している他、PFやMSなどのアルファベットもグレーディングに使用します。
ぜひ、今回の記事を参考にコインのグレードを見てみてくださいね。