【MS64+】1852年 イギリス ヴィクトリア女王 ゴチック フローリン 2シリング銀貨
英国コイン美術の頂点を体現する“ゴチック様式”の傑作!
制度改革の象徴として誕生し、芸術・歴史・貨幣制度が高度に融合した、ヴィクトリア朝を代表する名品です。
世界市場で圧倒的な人気を誇るヴィクトリア朝コインの中でも、
特に市場性と状態に優れた銀貨のご紹介になります。
■デザイン
表面:王冠を戴くヴィクトリア女王の左向き肖像
銘文:VICTORIA D G BRITT REG F D(訳:神の恩寵による英国女王)
裏面:4つの王冠付き盾を十字状に配置した荘厳な紋章構図
銘文:ONE FLORIN ONE TENTH OF A POUND(訳:1フローリン / 1/10ポンド)
刻印師:(表)William Wyon、(裏)William Dyce
【William Wyon(ウィリアム・ワイオン】
英国造幣局を代表する天才彫刻家、ウィリアム・ワイオン。数々の記念貨や肖像メダルを手がけ、その卓越した技術と洗練された芸術性は、後世に多大な影響を与えました。類まれなる才能から生み出されたコインやメダルは、世界中のコレクターや投資家から熱い注目を集め、その芸術的価値と歴史的意義は現代においても揺るぎない評価を得ています。
■状態
MS64+
■コイン詳細
【発行年】1852年
【鋳造地】イギリス
【額面】1フローリン(2シリング)
【発行枚数】1,014,500枚
【素材】銀
【直径】約30mm
【重量】約11.31g
【表面】王冠を戴くヴィクトリア女王の左向き肖像
【裏面】4つの王冠付き盾を十字状に配置した荘厳な紋章構図
【刻印師】(表)William Wyon、(裏)William Dyce
【NGC鑑定】MS64+
■ポイント
*希少性
”NGC鑑定枚数89枚”
1852年銘のフローリン銀貨は、当時の「十進法導入」という制度改革に向けた実験的な役割を担い、市中で広く流通しました。そのため、当時の輝きを留めた未使用状態で現存しているものは決して多くありません。
事実、世界的な鑑定機関であるNGC社の統計を確認しても、本年号の鑑定枚数は合計で89枚程度に留まっています。その中で本品(MS64+)を上回る評価を得ているものはわずか7枚(2026年3月現在)しか存在せず、これほどのハイグレードな状態で市場へ供給される機会は極めて限定的といえます。170年以上の歳月を経てなお、鑑定順位の上位圏に位置する本品は、コレクションの対象として非常に希少です。
*状態
”NGC第3位鑑定”
①MS66:1枚
②MS65:6枚
③MS64+:2枚
上位グレードは7枚のみ!
本品は、NGC社より「MS64+」の鑑定を受けています。この「+(プラス)」は、同一グレードの中でも特に状態が良く、上位の「MS65」に迫る品質や優れたアイアピールを備えていると判断されたものにのみ付与される評価です。 微細な打刻の鮮明さや、当時の造幣局から送り出された際の状態に近い光沢が維持されており、19世紀英国の貨幣製造技術をありのままに伝えています。
*市場性
1852年に発行された「ゴチック・フローリン」は、英国貨幣史における「伝統と革新」が交差する傑作として、世界中のコレクターから熱い眼差しを向けられる人気銀貨です。
本銘柄の最大の魅力は、中世の様式美を現代に蘇らせたかのような特別な意匠にあります。表面には王冠を戴いた若きヴィクトリア女王の気品あふれる姿が描かれていますが、通常貨幣において戴冠した女王像が採用されるのは、1847年のゴチック・クラウンの流れを汲むこのシリーズならではの歴史的な試みでした。特に本品のような1850年代前半の銘は、ゴチック様式の完成度が極めて高く、市場では格別の重みを伴って扱われています。
また、デザイン面においても、本貨は英国コインの黄金期を象徴する造形美を誇ります。表面は天才彫刻家ウィリアム・ワイオンが手掛け、若き女王の肖像に格式と圧倒的な気品を宿らせました。裏面には、イングランド、スコットランド、アイルランドを象徴する四つの盾を十字形に配置。中央に据えられた薔薇の紋章や、周囲を彩る格調高いゴシック体のラテン語表記が、大英帝国の伝統と威信を今に伝えています。
一方で、このコインは「十進法導入」という制度改革を見据えた、極めて先進的な試験貨としての側面も持っています。裏面に刻まれた「ONE TENTH OF A POUND(1/10ポンド)」という宣言は、新たな時代への足掛かりを象徴するものです。1849年の「ゴッドレス(神なき)」型を経て、本作では本来の称号「DEI GRATIA(神の恩寵による)」が復活しており、歴史の揺り戻しを刻んだその経緯は、本貨に唯一無二のドラマ性を付与しています。
こうした意匠の美しさと歴史的文脈を併せ持つ本貨は、芸術品としても資料的価値としても優れた一枚であり、今なお多くのコレクターを惹きつけてやみません。世界でも日本でも絶大な支持を受けるヴィクトリア朝のコインは、収集家であれば誰もが一度は手にしたいと願う存在。その根強い人気ゆえに、今後の価格推移も大いに期待できる逸品です。
▼コインのストーリー
■概要
英国コイン美術の頂点を体現する“ゴチック様式”の傑作!
制度改革の象徴として誕生し、芸術・歴史・貨幣制度が高度に融合した、ヴィクトリア朝を代表する名品です。
■イギリスの時代背景
1837年、わずか18歳という若さで王位に就いたヴィクトリア女王。彼女が1901年まで続けた64年間にわたる統治は、後に「ヴィクトリア朝」と呼ばれ、イギリスが世界の中心として君臨した黄金期として語り継がれています。しかし、その輝かしい時代の幕開けは、決して平坦なものではありませんでした。
女王が即位する直前のイギリス王室は、混迷の中にありました。長きにわたったジョージ3世の治世に続き、ジョージ4世、ウィリアム4世という二人の王が王位を継承しましたが、彼らの芳しくない素行は王室の権威を大きく失墜させていたのです。揺らぐ王室への信頼を背負って誕生した若きヴィクトリア女王は、持ち前の品格と強い責任感によって国民の期待に応え、王室の威信を劇的に回復させるという重要な役割を果たしました。
女王による精神的な立て直しと呼応するように、国内では産業革命が加速し、経済面でも劇的な変化が起こります。1830年代から1870年代にかけて工業技術や貿易は飛躍的な発展を遂げ、イギリスは名実ともに「世界の工場」としての地位を確立しました。圧倒的な経済力を背景に、イギリスは世界各地へ植民地を広げ、広大な版図を持つ「第二帝国」を構築。ついに世界の覇権を掌中に収めたのです。
この空前絶後の繁栄を象徴する出来事が、1851年に開催されたロンドン万国博覧会でした。会場となった巨大な建築物「水晶宮(クリスタル・パレス)」には、最先端の技術と富が集結し、イギリスの圧倒的な国力を世界中に知らしめる場となりました。
こうして、女王の気品ある統治と産業界の躍進が合流したこの時代は、武力と経済力による平和「パクス・ブリタニカ(イギリスによる平和)」と称されます。大英帝国の最盛期として歴史に刻まれたこの半世紀余りは、今なおイギリスの誇りとして燦然と輝いています。
■ヴィクトリア女王とは
1837年、わずか18歳でハノーヴァー朝第6代女王として即位したヴィクトリア。彼女が1901年までの63年間にわたって築き上げた「ヴィクトリア朝」は、イギリスが世界最強の国家として君臨した黄金時代として歴史に深く刻まれています。2022年に崩御したエリザベス2世の高祖母にあたる彼女は、まさに近代イギリス王室の礎を築いた人物といえるでしょう。
ヴィクトリア女王の統治下、イギリスは産業革命の恩恵を最大限に享受し、劇的な社会変革を遂げました。彼女は技術革新と経済発展を強力に後押しし、世界各地へ植民地を拡大。イギリス帝国の版図を最大へと広げ、政治・商業の両面で圧倒的な影響力を獲得しました。また、女性が政治の表舞台に立つことが稀だった時代において、教育の普及や女性の権利向上、さらには選挙権拡大を支援するなど、社会の進歩にも大きく寄与しました。
その治世は文化的にも隆盛を極め、文学や音楽が花開いた「英国文化の黄金時代」でもありました。しかし、強大な帝国の主である一方で、彼女の私生活は深い情愛に満ちたものでした。
夫・アルバート公との結婚生活は非常に幸福なものでしたが、1861年に最愛の夫を亡くすと、女王は深い悲しみに沈みます。その後、長年にわたって社交界から身を引き、黒い喪服を着用し続けるという厳格な「喪の期間」を過ごしました。この彼女の振る舞いは、当時の人々の道徳観やファッションにまで多大な影響を及ぼし、「黒=喪の象徴」という現代にも続くモラルコードを定着させるきっかけとなったのです。
1901年にその生涯を閉じるまで、ヴィクトリア女王は常に国家の象徴として、また一人の女性として、激動の19世紀を駆け抜けました。彼女が残した功績と精神は、今なお「パクス・ブリタニカ(イギリスによる平和)」を象徴する輝かしい記憶として、英国史上、類を見ない重みを持ち続けています。





お問い合わせ




